[相談]
私は個人事業を営んでおり、所得税法上のいわゆる「現金主義による所得計算の特例」の適用を受けています。
そこでお聞きしたいのですが、上記の特例計算において、器具備品などの減価償却費はどのように取り扱われるのでしょうか。教えてください。
[回答]
現金主義による所得計算の特例の規定を受ける場合であっても、器具備品などの減価償却資産についてはその取得金額がそのまま必要経費になるのではなく、その取得金額を一定の方法によって各年分の必要経費(減価償却費)として配分していくことが必要となります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
所得税法では、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている納税者で不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を行う人のうち小規模事業者として一定の要件(※1)に該当する人の、その年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除きます)の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額は、一定のものを除き、特例として、その業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができると定められています(現金主義による所得計算の特例)。
なお、その年分以後の各年分の所得税につき現金主義による所得計算の特例を選択する納税者は、その年3月15日まで(その年1月16日以後新たに業務を開始した場合には、その業務を開始した日から2月以内)に、「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書(※2)」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないと定められています。
※1 小規模事業者の要件は、次のとおりです。
@その年の前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等の規定を適用しないで計算した場合の金額)の合計額が300万円以下であること。
A既に現金主義による所得計算の特例の適用を受けたことがあり、かつ、その後その規定の適用を受けないこととなった人については、再びその規定の適用を受けることにつき納税地の所轄税務署長の承認を受けた人であること。
※2 青色申告の承認申請とともにこの現金主義による所得計算の特例の適用を受けるための手続をする場合には、「所得税の青色申告承認申請書、現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出することとなります。
また、過去にこの特例の適用を受けていた場合には、「再び現金主義による所得計算の特例の適用を受けることの承認申請書」を提出することとなります。
減価償却とは、減価償却資産(※3)の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費(減価償却費)として配分していく手続です。
この減価償却費については、所得税法上、上記1.の規定の適用を受ける納税者であっても、減価償却資産の取得金額をそのまま減価償却費として計上することはできず、通常通り、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費(減価償却費)として配分していくことが必要であると定められています。
したがって、現金主義による所得計算の特例の規定の適用を受ける場合であっても、減価償却資産の取得金額については、その取得金額がそのまま必要経費になるのではなく、その資産の種類、構造、用途などの別に、耐用年数を基として計算したその年分の期間に対応する減価償却費が必要経費になりますので、ご注意ください。
※3 減価償却資産とは、一般的には時の経過等によってその価値が減っていくとされる建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産をいいます。
[参考]
所法67、所令195、196、197など
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。












